当記事は、甘えから不登校になり、克服した高校生の保護者による体験談をお伝えします。
不登校と聞くと、「親に甘えている」といった世間のイメージを持たれ、親として悩みを抱えることが多いです。
ぶっちゃけ、不登校を経験した高校生の保護者の意見として、不登校は甘えだったのか。
また、どのように不登校を克服できたのかについて、自営業をされているAさんにお話を伺いました。
不登校は甘えではない!一人のほうがずっと大変
不登校を「甘え」と切り捨てるのは、組織から離れたことがない人の考えです。
組織を一度で離れた人であれば、組織の中に居るほうが快適なことを知っています。
学校や会社といった組織から離れることは、実は意外と簡単です。
それ以上に大変なのは、元の学校(組織)に戻ることです。
大変なことが嫌いであれば、長いものには巻かれ、学校にいっていることのほうが楽です。
息子が親の仕事を手伝うことで社会の大変さを知った
現在23歳の息子が、高校1年生だった時のことです。
不登校になったきっかけは、先生との人間関係が上手くいかなかったことが原因ではないかと思います。
不登校になった息子は、親の仕事を手伝ったことで社会人の大変さを知り、後に学校に復帰することが出来ました。
元々、息子が入学したのは資格取得に力を入れている高校でした。
卒業後は進学するより就職する生徒のほうが多く、中には髪の毛を染めるなどヤンチャな子もいました。
息子は高校を卒業した後、私の仕事を手伝う気でいたため、入学しても勉強せずに友達と遊んでばかりいました。
その結果、夜遅くまで遊んでしまい朝は起きられない、そして学校に遅刻することが続くと先生に叱られました。
他の生徒の前で恥をかかされた、と感じた息子はそれがきっかけで学校を不登校になりました。
イジメを受け不登校になったのであれば、保護者が対応することもあるのでしょう。
元は夜遅くまで遊んだ息子が悪い、そのことは息子自身も分かってはいたのですが、年頃だと素直に謝れませんでした。
不登校がズルズル続くと、学校の友達から心配のメールも届かなくなり、そこで大きなことに気づきます。
息子は、忘れ去られる不安を生まれて初めて知ることになったのです。
仕事を通して資格の大切さを再認識してくれた
進学するという道を自ら選んだのですから、高校のルールに従うのは当然のことです。
ルールを変えたいのであれば、他の生徒達の賛同が得られる生き方をしなくてはなりません。
このことは、頭では分かっていても自ら行動に出るのは難しい…
そう自身の経験から分かっていたため、私は息子に仕事を手伝うように言いました。
家まで追い出されるわけにはいかないため、息子は渋々でも仕事についてきました。
私の仕事は汗はかくは汚れるはと大変、年頃の息子には私の仕事がダサく思えたのかもしれませんが、息子はお客さんの前では何も言いませんでした。
仕事によっては割り合わないこともあり、他でアルバイトをしたほうが稼げる場合もあるのですが、仕事を選んでいられないのが自営業。
大変な思いをして高校の授業料などを稼いでいることを知った息子は、学校についての考え方が変わりました。
このまま中退するより、学校で資格を取得してからのほうが役立つ。
そう気付き、息子の不登校は解消されました。
学校に行っているほうが甘えられる
不登校になった息子の気持ちも良く分かります。
我が家は、夫婦で大変な思いをして独立開業しました。
そのため、息子には学歴や資格というルートを用意してあげ、同じような生き方をしてほしくありませんでした。
私としては、大学へ行きサラリーマンをしてくれたほうが安泰な暮らしが出来ると思っていました。
そう思う反面、息子が小学生のとき跡を継ぐと言ってくれた時は夫婦で泣きました。
息子は、不登校時に楽しそうに私のきつい仕事を誰よりも残って手伝ってくれました。
ひょっとしたら同年代の子のほうが学校というものに甘えている、そう見えたのかもしれません。
仕事がきつかった分、高校に戻ればもう少し楽に暮らせると思ったのかもしれません。
そういったきっかけでも、学校に戻り資格を取得し立派に卒業できました。
この不登校の期間は、親子ともども決して間違いではなかったと思います。
最後に
不登校を甘えと悩む親は多く、私も多くの保護者の方に相談されました。
その多くは、社会経験をすると見方が変わるというケースは多かったです。
今回お話をしていただいたAさんも、同じようなきっかけで息子さんが高校への意欲ができました。
また、忘れ去られる不安を感じたことも大きかったことでしょう。
しかし、学校という輪の中に、一度逸れてしまった状況から入るというのも勇気がいります。
もし、意欲はあるけど同じ輪の中に入ることが不安であれば、学校の先生へ相談してみましょう。