今回はそんな【通信制高校の選び方】の疑問についてお答えします
いま、私立の通信制高校は年々増えています。
不登校、何らかの理由で全日制高校に通うことができない、芸能やスポーツに打ち込みたいので学習時間を有効活用したい。
様々な理由によって通信制高校の入学が選択されつつありますが、まだ通信制高校の詳しい仕組みやルールが分かりづらく、学校の先生も通信制高校の情報についていけていません。
そこで、今回は通信制高校の選び方について元通信制高校の中の人であった私、だるま室長がお伝えします。
通信制高校への入学希望がある中学生、高校生だけでなく、子供には無理なく楽しく学校生活を送ってほしいと願っている親目線で、次は絶対に失敗しない通信制高校の選び方についてお話します。
目次
通信制高校の選び方①:学校の雰囲気
結論から言えば通信制高校を選ぶ上で最も大切なのは学校の雰囲気です。
親から見た学校の雰囲気も大切かもしれませんが、実際に入学する生徒本人にとって良い学校の雰囲気が一番です。
なぜ私が通信制高校選びに学校の雰囲気が最も大切だと断言するかというと、通信制高校に入学を希望する生徒の多くは学校に対する悩みを抱えているからです。
例えば…
という希望を持っています。
そんな学校に対する悩みがあるのに、入った先の学校でも同じような雰囲気であれば学校に入った意味がありません。
よって、生徒にとって残りの高校生活が横臥できる学校の雰囲気が第一優先となります。
例えば進学コースなどがある学校は学校以上に予備校ような雰囲気がったり、様々なコースを選択できる学校の場合はより個性的な仲間が多いはずです。
学校の雰囲気はパンフレットだけでは伝わり切りません。
学校見学は平日の授業を見に行ったり、生徒の授業風景や学校生活を見るとより学校の雰囲気は伝わります。
学校説明会などが行われる土日の場合は、個別相談会などで普段の学校の様子を担当の方に具体的に質問してみることでよりイメージすることをおすすめします。
通信制高校の選び方②:通学ペース

通信制高校を選ぶ上で次に大切なのは生徒(子供)の通学ペースです。
全日制高校とは違い通信制高校にはスクーリング(面接指導)があります。
通信制高校によっては、月に数回~週数回、または毎日登校の学校や年に1回の集中スクーリングを行う学校など様々です。
最近では、インターネットを使った放送視聴により授業時間の減免を受け登校日を減らしている学校など、登校頻度は学校により全く違います。
全日制高校と比較するとどの通学頻度よりも確実に少なくなるため、不登校などが理由で学校に行くことが困難な生徒にとって、通学ペースが選択できる学校を選べるのは大きなメリットです。
また学校によっては通学パターンを複数設定し、生徒の状況に応じて登校ペースを変えることができる通信制高校もあります。
生徒からすれば「これなら通えると」と自信が持てるようになり、親からすれば必ず毎日行かなくてはいけない全日制高校からのハードルが下がるので安心できるはずです。
通信制高校の選び方③:サポート体制

通信制高校は原則、自宅自習です。
学習方法はタブレットやスマホでも勉強ができるようになり動画の授業の閲覧をもって学習している学校もあります。
自宅学習といっても時間や場所を問わず学習べます。
しかし通信制高校のメリット・デメリットでもお伝えしましたが、全日制高校と比べ通学がなく自分のペースで学習ができるのは、メリットな生徒もいればデメリットな生徒もいます。
自分だけで学習を進めるのが不安…そんな生徒に現在の主流として私立の通信制高校は通学ペースを選択できるサポート体制が整っています。
週1日通学、週2日通学、週3日通学、週5日通学(毎日)と通学曜日を選択できる場合や、午後からの通学など全日制高校にはない通学ペースが選択できます。
それだけ生徒1人だけで3年間学習を自己管理で行い卒業することが難しくなっているのが現状です。
毎日学校に通う自信がなくても少しでも通え勉強しやすい環境があることで生徒も保護者も安心して高校卒業を目指すことができます。
また、本校が遠く集中スクーリングを行っている通信制高校では、1人の学習に不安を持つ生徒に対し『サポート校』を設置しています。
サポート校とは通信制高校に在籍する生徒にレポートの学習内容を先生に教えてもらい単位修得の支援をしてもらえる教育センターです。
不登校で学校に毎日通うことが困難、不安な生徒でもあなたのペースで通うことができるのがサポート校の魅力です。
通信制高校の選び方④:学習内容

通信制高校の学習内容について気になる方も多いかもしれませんが、原則『高校卒業資格を取得する』ことを目標にするため学習内容はどの学校もほぼ変わりません。
それなら、どの通信制高校でも同じでは?と思うかもしれませんが、各通信制高校(主に私立)では学ぶ内容に特色があります。
- 大学進学コース
- インターナショナルコース
- ゲーム・プログラミングコース
- マンガ・イラストコース
- 声優コース
- ヘア・メイクコース
- 美容師コース
- ネイルコース
- 保育士コース
- 調理コース
- eスポーツコース
- ダンスコース
- 芸能コース
- 音楽コース
- 海外留学コース
ここに上げただけでもほんの一部分で、各学校によって沢山のコース設定をしている通信制もあります。
これまでの通信制高校は高卒資格を取得するためのレポートの学習支援のための授業がほとんどでした。
時代の変化と共に楽しく学べるよう私立の通信制高校を中心に多分野を学べるコースが増えています。
実際私が勤めていた学校にも進学コース以外にイラストや声優を学べる専門的なコースがありました。
これまで学校に対してネガティブだった生徒たちが好きなものを学べるということで楽しく通っている生徒が本当に多かったです。
好きなものだから話が合うためコミュニケーションも生まれて新たな人間関係を作れていました。
また、声優コースなどでは演劇など一人ではできない授業で協調性が身に付きます。
「学ぶ」というのは勉強だけではなく、人との関わり合いや社会に出るために必要なことを学べるという点においても、生徒にとって好きなことを学べるコースがあるのは非常に大きい特徴です。
そのため今の学校が合わない、不登校だから通信制高校という選択肢だけではなく、自分のやりたいことを高校から学べるという視点で通信制高校を選ぶ方も増えています。
通信制高校にも学びに特色があるように、現在では全日制高校にも『総合学科』というものがあります。
総合学科は普通科と違い、 自分で選択する力と複数の技術を学べる力、自分の得て不得手が分かるという『考え方が柔らかくなる』メリットがあります。
私は岐阜の総合学科・総合学園高等学校で音楽を専攻しました。しかし、それ以外の分野も学ぶことができました。現在は「製造業・広告業・創作分野の仕事・投資」など、様々な仕事で活躍しています。
Ryotaさんは総合学科を卒業後、パラレルワーカーとしてお金を稼ぐことについて情報発信をされています。
以下のサイトが参考になります。
通信制高校の選び方⑤:学費

学費が安いのは圧倒的に公立高校
よく『通信制高校は学費が安い』というメリットがあるとサイトで書かれていることがありますが、結論を言えば学費が安い通信制高校は公立高校です。
公立の通信制高校では、自宅での学習、ほとんどが自己管理で卒業を目指すため学費が安いという特徴があります。
中卒業程度の学力があり、自主的に勉強を進められる生徒にとっては卒業を目指せます。
しかし、前述した通りサポート体制や生徒が自発的に学びに行きたいと思える環境のことを考えれば、絶対に私立の通信制高校を選ぶべきです。
実際、私立の通信制高校では主に下記の学費がかかります。
- 入学金・授業料(通信制高校)
- 入学金・授業料(サポート校)
- 教材費(普通科目)
- 教材費(専門コース※)
- 行事費(遠足や学校祭など)
- スクーリング費
- 制服(※)
- パソコン・タブレット
- 通学定期(通学の場合)
特に私立の通信制高校の学費で大きく差が出るのは、赤字で記したサポート校の入学金および授業料、スクーリング費、専門コースでかかる教材費、制服です。
学費以外にかかる総合的な費用は必ず確認
全日制公立高校 | 全日制私立高校 | |
授業料 | 118,800円 | 390,578円 |
入学料 | 5,641円 | 162,362円 |
施設整備費等 | – | 169,360円 |
合計 | 124,441円 | 722,300円 |
上記金額は全日制高校の公立・私立の授業料についてですが、私立の通信制高校で必ずかかるのは、入学金や授業料です。
私立の全日制高校と比べると入学金はだいたい5万円程度なので安いです。
通信制高校は自宅学習なので授業料という名目に違和感があるかもしれませんが、ここでいう授業料は基本『単位取得料』と言われます。
通信制高校の授業料は1単位いくらという表現がされています。
例えばN高校だと1単位7,200円と言われていますので、その年30単位を取得しようとする場合、216,000円が必要になります。
それ以外にスクーリング会場が近隣ではない場合(学校によっては本校が沖縄、屋久島、北海道にあります)
当然、飛行機代や宿泊費、滞在期間中の食事などの生活費がかかります。
また、サポート校に入り専門コースを選択すればサポート校の授業料や専門的な教材を使うための費用がかかります。
授業内容はほぼ専門学校と同じで講師もプロが多いため、中には専門学校ばりの学費や教材費がかかるケースもあります。
学費や在籍期間中にかかる総合的な費用について「だいたいこれくらいかな」と想像だけで入学を決めるのは非常に危険です。
必ず興味のある通信制高校の資料請求をしてパンフレットを見て確認しましょう。
そして、パンフレットを持って学校説明会、相談会に参加し担当者に在籍期間中の総合的な概算金額を出してもらいましょう。
説明会で直接学費について相談することも可能ですが、担当者も「通信は高い」と思われたくないのが心情です。
すべてを話してくれないかもしれません。予め資料請求しておき想定される費用をご家庭で確認し担当者と相談しましょう!
学費で通信制高校を選ばない!それでも安くしたい場合の裏技

学費の話をすれば当然「学費が安い通信制高校のほうがよい」と決めてしまいがちですが、私は学費で通信制高校を選ぶべきではないと考えています。
我が家の家計の身になって考えて欲しい・・・と言われてしまうかもしれませんが、私も折れるわけにはいきません。
確かに教育費は高く、公立高校から私立の通信制高校に加えサポート校に通った場合2~3倍かかってしまうかもしれません。
しかし、学校に行くことが難しく卒業が難しい生徒が新しい学校で学ぶことを楽しめたら。毎日「行ってきます!」と笑顔で通学してくれる姿を見ることができることがどれだけ安心できるか。
私がこれまで入学相談室として多くの生徒と保護者と関わってきましたが、卒業式の日、多くの保護者の方から「子供がこんなに楽しく通えるようになって良かった」という声を本当にたくさん頂きました。
私には学校に通うことの楽しさを共有できた、勉強だけでなく時に叱り、時に涙し、時に笑顔を共有できたのは、生徒が「ここならできそう!」と思える学校だからだったのではないかと思っています。
確かにコースによっては専門的な教材もかかります。
一概におすすめはできませんが、家族で話し合い子供が「ここなら入りたい!やってみたい!」という話し合いができれば、通信制高校を選んで欲しいです。
「それでも学費が高い」と思われた方は裏技的な話ですが、単位数ギリギリのカリキュラムを組んでもらうように学校にお願いしてみましょう。
前述したとおり、通信制高校の授業料は1単位6,000円~の単位取得料です。
多くの学校は3年間74単位の修得で高校卒業資格が取得できるのですが、多少単位を落としても3年間で卒業できるよう多めに単位を組みます。
そこを3年間で74単位ぴったりになるように組んでもらいます。
もし、その学校が1年間30単位で3年間90単位を取得する学校であれば、3年目を14単位で組んでもらい、3年間で74単位を修得する事で高卒資格を取れるという手段を取ることもできます。
まとめ

このページでは、【通信制高校の選び方】について解説しました。
まとめると通信制高校を選ぶには、次の項目をチェックすることをおすすめします。
- 学校の雰囲気
- 学校の通学ペース
- 学校のサポート体制
- 学校独自の学習内容
- 学校の学費
どうしても保護者、親が学校選択をする場合、⑤学費から④学べることや③サポート体制という順番から気になる場合が多いのですが、生徒、子供側から見たら①学校の雰囲気が最も気になる部分です。
いくら通信制高校は自宅学習だからといっても、レポート管理してくれる担当の先生とのやりとりはあります。
レポート内容についてや行事ごとなどの締切についても仲間がいるほうが遅れることなどもありません。
「自分はもう一度通えるのかな」という不安から通学ペースが選択できることは強みですし、そのうえで他の学校にはなく生徒、子供がやりたいと思えることだったら…。
きっと生徒、子供は心から楽しく学ぶ姿勢になり学校へ毎日笑顔で通ってくれるはずです。
生徒よりな通信制高校の選択基準かもしれませんが、子供の笑顔には何よりも変えがたいプライスレスなものです。
学費については単位取得の相談だけでなく、高等学校就学支援金による補助金や、高等学校授業料無償化の動きもあり以前よりも総合的に見ると学費は安くなっています。
ぜひ、「次こそ失敗したくない」というあなたにはこのページを見て通信制高校をご検討ください。
ここまでは通信制高校の選び方についてお伝えしてきましたので、入学した後のことをステップ4:通信制高校卒業後の進路について詳しくお伝えします。
ステップ1:通信制高校の本当のメリット
ステップ2:通信制高校に入るには
ステップ3:失敗しない通信制高校の選び方
ステップ4:通信制高校卒業後の進路
ステップ5:通信制高校のよくある質問
ステップ6:高校辞めたいあなたへ後悔しない選択肢